石化・脱炭素で付加価値創出…三菱ケミカル、成長へ具体策 ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

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三菱ケミカルグループは2035年に向けたビジョンでより成長領域を明確化する方針だ。1日付で筑本学社長が就任し、石油化学や医薬、MMA(メチルメタクリレート)など事業の方向性を検討する。同社が掲げてきた"KAITEKI"をあらためて実現して社会に貢献し、次世代の成長の姿を映し出す。(山岸渉)

「気候変動の加速やパンデミックなどがある中で、どう社会課題にアプローチし、ビジネスを伸ばしていくかをクリアにしていきたい」。筑本社長はこう意気込む。30年までのあるべき企業像などを示した「KAITEKIビジョン30」をベースに事業環境の変化を捉えつつ、より得意な分野を伸ばすことを念頭に成長戦略を明確化する考えだ。

その中で重要なのが、基盤の化学。石油化学と高機能材料(スペシャリティマテリアルズ)で、カーボンニュートラル(温室効果ガス〈GHG〉排出量実質ゼロ)対応と最適な生産体制を築くことだ。筑本社長は「皆で集まって知恵を出し合いたい」と語る。

例えば、西日本の石化コンビナート間で「瀬戸内連合」を形成して連携する構想や、茨城県鹿島地区でのケミカルリサイクル(CR)の取り組みがある。CRの取り組みを含め、鹿島地区は「パイプでつながっているお客さまが強い。(エチレンプラントの)稼働率が高い」(筑本社長)と胸を張る。同業他社とも脱炭素対応など研究開発部門でより密な連携ができるのではないかとみる。

化学の脱炭素対応などで知恵を出し合いたい・・・と筑本社長

一方、医薬品や産業ガスについては今後のシナジーを見極め、成長戦略を検討する。特に製薬に関する投資は人材を含め、どう取り組んでいくかが重要と捉える。

また、MMAは米国で環境認可を経て数千億円を投資するプロジェクトを見据える。「最もコスト競争力があり、二酸化炭素(CO2)排出量が少ない技術を持つ。よりKAITEKIに世の中を変えていける」(筑本社長)と強調。資金面などを念頭に、いかに実現できるか策を練る。炭素事業ではリサイクル技術などで付加価値の創出も探る構えだ。

一方、従来からの在庫管理などキャッシュマネジメントの取り組みはさらに強化しながら、現場ときめ細かくコミュニケーションを取る姿勢は欠かさない。筑本社長は「毎月海外1カ所、国内2カ所を巡る」ことを習慣づけている。また「今の経営メンバーは深く事業のことを理解している」と評価する。

今秋に向け早期に具体的な施策を打ち出しつつ、35年に向けた具体的なビジョンを検討する考えだ。KAITEKIを実現する戦略を鮮明に打ち出し、事業環境が激しく変化する時代に臨む。