自分に合う眼科医の見つけ方「口コミより最新の検査設備、症例数を重視して」【医師解説】 (1/1)| 介護ポストセブン

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 ヘルスケア市場のリサーチを行なう株式会社UOC(ウォーク)の調査(23年)によれば、50代男女の「50代で起こる身体の変化」のトップは「視力低下」で実に70%超。スマホやパソコンが普及し、目の不調は〝国民病〟になりつつある。目に不安があったときに頼れる眼科医の探し方を紹介する。

教えてくれた人

梶原一人さん/眼科かじわらアイ・ケア・クリニック院長

眼科医選びは難しい「口コミ」は参考程度に

 人が外界から情報を得る際、情報量の9割以上を「視覚」が占めるといわれている。支障なく「ものを見る」ことができるかどうかは日常生活を大きく左右する。

 中高年に差し掛かると「かすみ」や「ぼやけ」など、誰しも見え方に何らかの不調が起こるものだ。しかし、近所の眼科に通っても適切に治療ができていないと不信感を覚える人が増えているという。

 眼科かじわらアイ・ケア・クリニック院長の梶原一人医師が言う。

「自分の目の症状に不安があるけれど適切な受診先がわからず、とりあえず近所の病院に行く人は多い。ただ、多くの患者をさばくために問診時間も短く『歓迎されていない』と感じる人が多くいる。私はそうした患者さんのことを『眼科難民』と名付けました」

"難民"から抜け出すには、「良い眼科医」に出会うことが必要になる。厚労省の調査によると眼科は開業医の割合が7割弱と他科に比べて高いが、「眼科の名医と出会うのは容易ではない」と梶原医師は語る。

「眼科医の選び方は難しく、専門の世界にいる私でさえ正直わからないところがある。専門医の肩書きも、眼科は(細分化している内科などと違い)1種類しかありません。眼科専門医だから技術が高いとか、経験が多いということでは、必ずしもないのです」

口コミばかり重視するのは避けて

 ホームページや口コミは判断材料になるが、そればかり重視するのは避けたい。

「口コミは参考程度にしましょう。例えばうちの病院は口コミが良くない。複雑な手術や機器などに対応できるので重症患者には感謝されますが、目が腫れたといった軽症の患者さんは『早く診断して薬を出してくれ』となるから不満が募る。自分の悩みが白内障か緑内障か、それとも視力や老眼なのかで細かく調べてください」(同前)

手術を受けるなら「専門」より「症例数」を重視

 梶原医師は「設備」が整っているかも重要な判断材料になると説く。

「緑内障を見つける最新の『OCT検査(網膜の断層を撮影する検査)』は、現在はかなり普及しています。中期以前の緑内障を見つけるにはやはりOCTがないと厳しいと言えます。加齢黄斑変性の経過観察の際の細かい診断にも利用するので、OCTがない病院はこうした症状の治療には適さないでしょう」

 手術を受ける場合は客観的な数字で判断したい。

「白内障で手術を考えている場合は、『専門』といった謳い文句ではなく、『症例数』が多い病院や医師を選んだほうがいい。

 自己申告になりますが、症例数が多い病院はHPに記載していることが多いです。加えて言えば、すぐに手術を勧める医師ではなく、現状を的確にヒアリングしてくれる医師を選ぶことが重要です」(同前)

自覚症状が生まれた段階ですぐに検査を

 目の症状については「自覚症状」が生まれた段階ですぐに専門の検査を受けてほしいという。梶原医師のもとを訪れた患者のなかに、こんな人がいたという。

「見えなくなってきた状態を『白内障』だと思い込んでいた患者さんが、末期の緑内障だったケースがありました。病気が進んで末期になり中心視野が欠けると、手の施しようがありません。その患者さんは家の中でも手探りでしか歩けなくなってしまいました。もっと早く診察できていれば、と本当に残念です」(同前)

 失明原因となる目の疾患は数多くあることにも注意が必要だ。

日本人の失明を含む視覚障害の原因

緑内障…28.6%

網膜色素変性…14.0%

糖尿病網膜症…12.8%

黄斑変性…8.0%

脈絡網膜萎縮…4.9%

視神経萎縮…3.5%

白内障…3.0%

脳卒中…2.6%

角膜疾患…1.8%

強度近視…1.0%

その他…19.8%

※厚労省の2018年公開の研究報告書より本誌作成。

 手遅れにならないためにも、今、自分にどんな目の不安があるのかを自覚することから始めたい。

その「目の悩み」はこの病気が原因かも?

 目の病気の初期症状は似た点が多いが、それぞれ細かな特徴がある。目の悩み別・疑われる病気をまとめた。

<悩み1>疑いのある病気:緑内障

・人ごみを歩くと、よく人にぶつかる

・運転中に歩行者を見落としそうになった

<悩み2>疑いのある病気:白内障

・手紙を書く時に郵便番号がはみ出る 

・飲食店で色の違う他人のコートと間違えた 

<悩み3>疑いのある病気:老視(老眼)

・役所で書類の細かい字が読みにくい

・手元の文字がぼやける

<悩み4>疑いのある病気:黄斑変性

・景色の真ん中だけが霞んで見えた

・絵や写真を見た時に中心部が歪む 

※週刊ポスト3月22日号

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