あえて方言のバスガイド、都市圏からの観光客に大ウケ 福井の「おもっシェルジュ」、車内も大盛り上がり | 経済,社会 | 福井のニュース | 福井新聞ONLINE

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手作りの旗を持ち、観光客を先導する大村さん=4月22日、福井県坂井市の東尋坊

 北陸新幹線福井県内開業後、福井の方言を教えながら、県内各地を巡るバスガイド「おもっシェルジュ」が、県外の観光客をもてなしている。「ほやほや」「かたいけのー」といった言い回しは「独特で優しい」と好評で、方言そのものが観光の魅力になっている。おもっシェルジュの一日に密着した。

 「私、東京のテレビ番組に出たんです。冒頭のあいさつで言ったのが『かたいけのー』。福井では『元気ですか?』という意味です」。バスガイド歴33年、「G.C.北陸観光バスガイド紹介所」(福井市)の大村あゆみさん(52)が話し出すと、車内に笑いが広がった。

 「おもっシェルジュ」は県内のバス会社と同紹介所が連携し、15人のバスガイドが方言を使って、観光客をもてなしている。

 今回のツアー名は「加賀・越前の美食と絶景をめぐる3日間」。東京、神奈川、埼玉などから、シニア層を中心に25人が参加した。4月21日に北陸新幹線で来福し、あわら市のあわら温泉で一泊。22日は坂井市の東尋坊、永平寺町の大本山永平寺などを回った。

 「東尋坊は元々お坊さんの名前で、岩場から海に落ちてしまったことから名前が付いたそうです」。大村さんは方言だけでなく、観光地の"豆知識"を小出しにしながら、参加者を引きつけていった。

 この日、日本海の波は穏やかで、参加者は遊覧船に揺られながら、断崖絶壁を楽しんだ。

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 大本山永平寺へ向かう車中、大村さんは、日本一の生産量を誇る眼鏡枠や六条大麦、越前がになどを紹介。越前そばの説明では「ソバの花は、肥やしをまいたんてなーにおいなんですよ。ほんで、花言葉は『幸福』。福井は幸福度日本一の県。新幹線を使って何度でもおいでください」と呼びかけた。

 方言以外でも福井をPRしようと、県内の観光地や名産品を題材にした、自作のかるたの読み札も披露。「い 遺跡といったら特別史跡の朝倉氏遺跡」「て 天空の城 越前大野城」など、札をラミネート加工したキーホルダーを一人一人にプレゼントした。

 方言満載の車内で、横浜市から来た73歳女性は「『ほやほや』など、福井の方言は独特の響きで優しい。『はよしねや』(早くしなさい)は面白い」と興味津々の様子だった。

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 新緑がまぶしい永平寺に到着すると、大村さんは水色の生地に赤いフェルトで「おもっシェルジュ」と手縫いした自作の旗を掲げて先導した。

 「すごい建物と木」「緑がきれいねえ」「心が洗われる」。参加者は感嘆の声を上げながら、スマートフォンで撮影した。

 初めて福井を訪れた東京都の60代の夫婦は「除夜の鐘で毎年テレビ中継される永平寺は一度訪れてみたかった。北陸新幹線で来やすくなった。大満足」。ツアーを企画したクラブツーリズム(東京)の添乗員、松山正美さん(65)も「曹洞宗の大本山だけあって迫力がある。東尋坊、永平寺とシニア層に受ける観光素材」と話した。

 永平寺の後、バスは石川県に入り、加賀市の片山津温泉へ向かった。翌日、参加者は金沢市内を観光し、金沢駅から新幹線で関東へと戻った。ツアーの運転手を務めた越前観光バス(鯖江市)の佐々木祥司さん(56)は「おもっシェルジュはこれまでのガイドとひと味違う。車内も盛り上がる。リピーターになってくれるといいですね」と話した。

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