白亜紀末の小惑星衝突によって恐竜が絶滅したにもかかわらずなぜ鳥類は生き延びることができたのか? - ライブドアニュース

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かつて地球上に多数存在していた恐竜は、約6570万年前の隕石の衝突によって絶滅してしまったと考えられています。しかし、ハトやペンギンといった鳥類の先祖は白亜紀末の大量絶滅を生き延びています。ティラノサウルスやステゴサウルスのような恐竜が絶滅した一方で鳥類が現代でも繁栄している要因について、科学系メディアのSmithonian Magazineが解説しています。

Why Birds Survived, and Dinosaurs Went Extinct, After an Asteroid Hit Earth | Science| Smithsonian Magazine

https://www.smithsonianmag.com/science-nature/why-birds-survived-and-dinosaurs-went-extinct-after-asteroid-hit-earth-180975801/

そもそも鳥類の先祖は約1億5000年前のジュラ紀に誕生したと考えられています。当時の鳥類は羽毛を持つ小さな猛禽(もうきん)類のような恐竜から進化した「始祖鳥」と呼ばれる種とされておりその後8000万年の時を経て、歯を持って泳ぐハシビロコウのような鳥や、大きなクチバシを持った鳥などへと進化を遂げました。

しかし、6600万年前に小惑星が現在のユカタン半島に衝突。破片が降り注ぎ、森林火災を引き起こしました。その後は空がすすや灰で覆われ急激に気温が低下。その結果6600万年前に存在していた生物種の75%以上が絶滅したとされています。

一方で鳥類はこの災害を生き延び、白亜紀以降の新生代でも繁栄を続けています。ロイヤルBC博物館の古生物学者であるデレク・ラーソン氏は「非鳥類恐竜や翼竜が絶滅する中、クチバシを持った現代型の鳥類だけが生き延びることができた理由については、多くの議論が交わされています」と述べています。

前述の通り、大量絶滅を生き延びた鳥類の多くは歯のないクチバシを持った種でした。一部の鳥類は始祖鳥からの進化の過程で歯が退化し消滅したとされています。これらの鳥類はクチバシでエサをむしり取ることで食事を行っていました。

進化の過程で歯が消滅した理由についてテキサス大学オースティン校の古生物学者、グレース・マッサー氏は「かつては飛翔時の重量軽減のためと考えられていましたが、一部の歯のある鳥類も強力な飛行能力持っていたことが明らかとなっており、この仮説が覆されることとなりました」と語りました。

現代の仮説は「草食性になるにつれてクチバシを進化させ、その結果歯が失われた」というものです。最古の鳥類は昆虫やその他の小動物を捕食するための歯を持っていましたが、その後果物や種子などをついばむ鳥類が発展。白亜紀の終わりまでに、歯のない鳥類は歯を持つ鳥類よりもはるかに多様なエサを食べられるようになりました。

白亜紀末の大量絶滅の際には、環境の変化によって食べられるエサの数が急減しました。この結果多くの動物が絶滅することとなりましたが、さまざまな種類の食事が可能な歯を持たない鳥類はその中でも十分なエサを得ることができました。

一方で「ヴェガヴィス」のような種は絶滅しており、歯がなくクチバシを持っているだけでは大量絶滅を生き延びるのには十分ではないとも考えられています。Smithonian Magazineによると、生き延びた鳥類は硬い種子をすりつぶすことができる強力な「砂嚢(さのう)」を持っていた鳥類とのこと。

これまでの研究で、アヒルやオウム、ニワトリに近縁の鳥類がすでに大量絶滅の際には存在していたことが明らかとなっています。これらの一部の種も小惑星の衝突によって絶滅してしまいましたが、生き残った種がその後の進化に貢献しています。

また、その後の進化によって脳の大きさはそのままに体長が小さくなっています。その結果体の大きさと比較して大きな脳を持つようになり、鳥類の知性の向上が進みました。

しかし、鳥類が急激な発展を遂げすぎていることも指摘されており、ユニバーシティ・カレッジロンドンの解剖学者であるライアン・フェリーチェ氏は「草食性の哺乳類や非鳥類の恐竜は、歯がすり減っても食事を続けられるように、歯が生え続けるように進化を遂げました。しかし、クチバシが生え替わることはありません。進化の過程で歯を失うと、鳥類が捕食できるはずのエサの種類が急減してしまいます」と指摘しました。

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