【番記者の視点】鹿島5位浮上「右SBが3戦連発、ということは…」3つの理由で導く「鹿島の現在地」 - スポーツ報知

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◆明治安田J1リーグ▽第10節 G大阪1―2鹿島(28日・パナスタ)

 鹿島はG大阪を2―1で下した。暫定11位から5位に急浮上し、首位のC大阪と勝ち点3差に迫った。

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 DF濃野公人が3戦連続ゴールを決めた。第8節京都戦で決勝点、第9節鳥栖戦で先制点、そしてこの日は決勝点。流れの中から決めたサイドバックの3戦連発は、異例と言えるだろう。

 まず大前提として、濃野の攻撃センスはピカイチだ。3点ともに、得点の嗅覚と思い切りがなければ決められないゴールだ。

 その上で「なぜ右SBが3戦連続ゴールを決めているのか?」という視点から、開幕から10試合を終えたポポヴィッチ・アントラーズの現状を考えたい。

【〈1〉SBがゴール前に上がっても、何とかなる守備力がチームにあるから】

 濃野が「誰かがカバーしてくれているから、あれだけ自分が上がれている」と振り返ったように、個人戦術としての守備力は、今の鹿島の大きな強みの1つだ。

 ハイパフォーマンスを続ける植田直通に加え、関川郁万も安定してきた。対人守備に長けた佐野海舟と知念慶を中盤に並べていることも大きい。この守備型の組み合わせには一長一短があるものの、SBを前に押し出すという意味では効果的だ。濃野が後ろを捨てて(後ろに託して)前に上がれるだけの守備能力が、今の鹿島にはある。

 余談だが、安西幸輝の完全復活に関しても、このボランチ+CBの4人の安定感は大きいとみる。安西がこれほど輝けるのは、ボランチに三竿健斗とレオシルバがいた時以来だ。

【〈2〉サイド攻撃が機能しているから】

 濃野の3点のうち、京都戦、G大阪戦のゴールは、いずれも左サイドからのクロスが起点となった(師岡と仲間)。鳥栖戦の得点は、自ら右での崩しに参加し、そのまま駆け上がって奪ったもの。この3戦連発は、言い換えれば3試合連続でサイド攻撃が得点につながっていると表現できる。両サイドハーフの先発は固定化されていないものの、サイドからの攻撃でネットを揺らす「成功体験」は、チームとして確実に詰めている。

 そして、これだけサイドから得点が生まれるということは…である。第1ターゲットとなる鈴木優磨(鳥栖戦では樋口)がしっかりと相手を引きつけ、潰れ役を担っていることを忘れてはいけない。

【〈3〉前が決めないから】

 最後は耳の痛い話で締める必要がある。本来、3戦連発で崇められるべきはアタッカー陣だ。そこは、記しておかなければ…。

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 5月は勝負の1か月となる。GWは湘南、柏と中2日で激突。そこから5日空いて、東京V、広島と再び中2日。そして中3日で神戸。からの中2日で町田(ルヴァン杯)。疲労が溜まりきったところで、最後は中2日で迎える札幌遠征が待っている。

 真価が問われる1か月となりそうだ。5勝4敗1分けという数字に気を引き締めつつ、首位と勝ち点3差にいることを自信とし、勝利を積み重ねていきたい。(鹿島担当・岡島 智哉)