変わろう、変えよう:日本の性差研究なぜ進まないのか 佐々木東京大特任准教授に聞く | 毎日新聞

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今年度に横浜国立大客員教授・学長特任補佐(ジェンダード・イノベーション担当)と、東京大の特任准教授に就任した佐々木成江さん=本人提供

 自動車事故の負傷率など、国内にあるデータの多くが性差による分析に生かされずに眠り続けている。欧米で近年、性差を考慮した研究や技術開発が重視されているのとは対照的だ。データを性差の視点で読み解くと何が見えてくるのか。横浜国立大客員教授・学長特任補佐(ジェンダード・イノベーション担当)と東京大特任准教授に今年度就任した佐々木成江(なりえ)さん(生物学)に聞いた。【聞き手・西本紗保美】

 ――自動車事故の負傷率における男女の違いについて研究されています。

 ◆欧米では、車の衝突試験で用いられる女性ダミー人形が極端に小柄なことに加え、運転席に乗せて試験していないことが問題視され、改善の動きが出ています。これは自動車事故で重傷を負うリスクが女性の方が高いという研究データが報告されたことが大きなきっかけです。

 その研究は米国のデータだったので、乗っている車や体格が違う日本人の場合はどうなのか知りたいと思いましたが、そのような報告は見つけられませんでした。そこで交通事故総合分析センター(ITARDA)から国内の事故のデータを入手し、性別や年齢、事故時の速度や車の破損度などに着目し、負傷度合いを分析する研究に着手しています。

 ――なぜ、日本では性差に関する研究が進まないのでしょうか。