那覇の次世代型路面電車、建設費480億円 市が素案 - 日本経済新聞

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那覇市の知念覚市長は28日の定例記者会見で、次世代型路面電車(LRT)導入に向けた市の素案を発表した。市南東部に位置する真和志地区の寄宮交差点を中心に、東西方向と南北方向にそれぞれ約5キロメートルを複線で整備する。東西ルートではさらに約1キロの単線の支線も設ける。建設費は全線で480億円と試算。市は東西ルート建設を優先し、2040年度の開業を目指す。

素案では東西ルートは県庁北口付近から県立南部医療センター(沖縄県南風原町)付近までの約5キロ。支線は県庁北口付近から、海に面した若狭海浜公園付近までの約1キロで、車両基地は支線沿線の公園の地下に整備する。住宅が密集する真和志地区の街づくりを早期に進める観点から、東西ルートの整備を優先するとした。

南北ルートは市南部の真玉橋付近から寄宮交差点を経由し、モノレールの「おもろまち駅」付近を通る約5キロとした。支線を除き、既存の4車線ある車道のうち中央の2車線を活用してレールを敷設する。

那覇市がLRTの東西ルートと南北ルートの交差を想定している寄宮交差点(同市)

建設費については、東西ルートの支線を含む6キロを約320億円と試算。国の補助を使うことで市の負担は140億円程度に軽減されるとみる。南北ルートも含めた全線の建設費は約480億円で、国の補助により市の負担は210億円程度になると見込む。

需要について市は東西ルートで1日1万5100人、南北ルートも加えると1日2万1900人が利用すると予測。バス料金に準じて大人1人240円で試算した結果、東西ルートだけでも初年度からの黒字が見込めるという。施設の整備・保有は那覇市が行い、運行は今後設立する第三セクターが担う。

宇都宮市内を走る低床式のLRT。この導入例を那覇市が参考にした

知念市長はこの日の記者会見で「LRTを街づくりの起爆剤にしたい」と強調。5月にパブリックコメント(意見募集)を実施するほか、国や県、警察などとの協議を本格化させる。26年度にLRTの整備計画を策定したい考えだ。

市は40年度の開業を目指すが、一部で土地買収の必要があるほか、バス事業者を含めた関係者との協議に時間がかかる可能性もある。開業時期の遅れや、建設費が大きく上振れする懸念も指摘されている。

(奈良部光則)

LRT整備の素案を発表する知念市長(28日、那覇市役所)