<独自>磯焼け対策の駆除ウニを地元有力者に「贈答」 本来廃棄 長崎・壱岐東部漁協

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「800g→組合がとっている」などと書かれたメモ。日付は一昨年のもので、漁協が海女にノルマを課していたことがわかる(関係者提供)

長崎県壱岐市の漁協が国の補助金でウニを駆除しながら廃棄せず、贈答品として地元議員ら複数の有力者や団体に渡していたことが27日、関係者への取材で分かった。補助金はウニが海藻を食べ尽くすことで発生する「磯焼け」への対策として禁漁期間中のウニを駆除する名目で支出。水産庁の担当者は「補助金の目的はあくまでも駆除。贈答が事実なら(目的外支出で)問題だ」としている。

複数の関係者によると、駆除は定期的に行われるもの。壱岐東部漁協は禁漁期間に入った直後の昨年6月7日、漁協所属の海女32人に依頼してウニを駆除名目で採取。海女1人あたり1キロのむき身を納めるよう要請し、駆除作業の日当1万円を支払った。日当には駆除実施分として漁協が行政側に申請した国の補助金計32万円が充てられた。

駆除したウニは海女がそれぞれの自宅に持ち帰り、殻を割って身を掻き出し、ノルマ分を同漁協に持参。持ち込まれたウニは漁協職員が贈答用に処理し、組合長が指示した有力者ら10件ほどに贈っていた。贈答先には壱岐市を含む衆院長崎3区選出で、自民党派閥のパーティー収入不記載事件で今年1月に辞職、有罪が確定した谷川弥一元衆院議員も含まれるという。海女が同漁協に納める量は令和4年までは1人800グラムだったが、潜る人数が減ったため昨年からノルマが200グラム増やされたという。壱岐産のウニは市場では1キロ当たり約3万円の高値で取引されている。

壱岐東部漁協は産経新聞の取材に対し、谷川氏らにウニを贈ったと認めた上で、「お世話になった人に贈っただけで、何もやましいことはない。キックバックのようなことではない」と説明。一方で、駆除名目で採ったウニの贈答は「今年から止める」とも述べた。

壱岐市内の5つの漁協は例年、国の補助金を使ってウニの駆除を実施。ただ、壱岐東部以外の4漁協は駆除したウニを廃棄していた。