アミオダロンによる肝障害、どこまで許容する?

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2024/04/30

志賀 剛(東京慈恵会医科大学臨床薬理学講座)

(Sebastian Kaulitzki/stock.adobe.com)

 不整脈治療医にとっては「無くてはならない薬」、しかし使い慣れていない医師からは「危ない薬」として敬遠されがちなのが、抗不整脈薬アミオダロンである。アミオダロンの心外副作用として、肺毒性(関連記事:注意すべき「アミオダロンの肺毒性」を防ぐには)、甲状腺機能障害(関連記事:アミオダロンは「甲状腺」抜きでは語れない)と並んで注意しておきたいのが、肝障害である。

 アミオダロンは脂溶性が高く、消化管で吸収されても肝臓で初回通過効果を大きく受ける1)。循環血中に入ってからも脂溶性が高いため、肝臓で代謝を受けて体内から除去される。このように、アミオダロンの薬物動態において、肝臓は欠かせない臓器である。同時に、アミオダロンは肝臓への曝露が多く、また代謝物も発生するため、肝障害を引き起こしやすい。なお、薬物性肝障害は、ALTが正常上限の2倍、またはALPが正常上限を超えたものと定義される2)。

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著者プロフィール

志賀 剛(東京慈恵会医科大学臨床薬理学講座教授)●しが つよし氏。1988年大分医科大学(現、大分大学医学部)卒。自治医科大学大学院で臨床薬理学を専攻。東京女子医科大学循環器内科を経て、2019年から現職。総合内科専門医、循環器専門医、臨床薬理専門医。日本不整脈心電学会理事、日本臨床薬理学会理事、日本循環器学会代議員など。

連載の紹介

保存版「アミオダロン大全」

不整脈治療医にとっては「無くてはならない薬」、しかし使い慣れていない医師からは「危ない薬」として敬遠されがちなのが、抗不整脈薬アミオダロンです。アミオダロンをどう使うかといったノウハウが伝承されなくなっている今、不整脈治療医としての臨床経験や、先人が蓄積してきたノウハウに基づき、アミオダロンの安全かつ効果的な使い方をまとめます。

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