「高齢者」っていくつから?欧州の研究から見えるもの | 青野由利の「時を駆ける科学」 | 青野由利 | 毎日新聞「経済プレミア」

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 還暦を過ぎて「シニア割引」が使えるようになった時に、まず感じたのは「これはお得」というより、「え!私って高齢者だっけ?」だった。

 おそらく多くの人が経験することに違いない。でも、その感覚は世界共通なのだろうか?

 人々は何歳からが高齢(老齢)だと感じているのか。ドイツのフンボルト大、ルクセンブルク大、米スタンフォード大などの研究チームが25年にわたる意識調査をもとにした分析結果を専門誌「Psychology and Aging(心理学と老化)」に2024年4月、公表した。

 分析対象はドイツ政府による「German Ageing Survey(ドイツ高齢者調査)」に参加した1911年から1974年生まれのドイツ在住の1万4056人。調査は1996年に40~85歳の人を対象に始め、6年ごとに対象者を加えつつ、25年間で8回、アンケートに答えてもらっている。

個人の年齢で認識に変化

 そこから浮かんだのは、いつ生まれたかによって認識が異なり、しかも個人が年齢を重ねることによって認識が変化することだ。

 まず、昔より最近生まれた人の方が高齢者と考える年齢が高い傾向がみられた。たとえば、1911年生まれの参加者が65歳の時には「71歳からが高齢者」と認識していたのに対し、1956生まれの参加者が65歳の時には「74歳から」と答えた。

 また、年齢を重ねるにつれて高齢期の開始と考える年齢を上方修正する傾向もみられた。平均すると64歳では「74.7歳からが高齢者」と考えるのに、74歳では「76.8歳から」と考えていた。年齢が4~5歳上がるごとに、高齢期の始まりと考える年齢が1歳ずつ後ろになっていたという。

 さらに…

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